甲陽軍鑑について

武田氏研究にとって、『甲陽軍鑑』はさまざまな意味で欠かせない史料でしょう。最近の研究では、見直し論が高まっているようです。詳細は、下記の論文を参照されるとよいでしょう。
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黒田 日出男 「『甲陽軍鑑』をめぐる研究史-『甲陽軍鑑』の史料論(1)」(『立正大学文学部論叢』124号、2006年)

黒田 日出男 「桶狭間の戦いと『甲陽軍鑑』-『甲陽軍鑑』の史料論(2)」
(『立正史学』100号、2006年)

黒田 日出男 「戦国合戦の時間論-『甲陽軍鑑』の史料論(3)」
(佐藤和彦編『中世の内乱と社会』東京堂出版、2007年)

黒田 日出男 「『甲陽軍艦』の古文書学-『甲陽軍鑑』の史料論(4)-」
(『武田氏研究』38号、2008年)

黒田 日出男 「戦国の使者と『甲陽軍鑑』(上)-『甲陽軍鑑』の史料論(5)-」
(『立正大学文学部研究紀要』24、2008年)

 『甲陽軍鑑』は、年月日の誤りや記事を裏付ける古文書が無いなどから、事実を確定する作業には不向きな史料であり、そのことから信用のおけない偽書とされてきました。その偽書論をふまえながらも、部分的には使えそうな所を探しながら利用されてきました。
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上記の黒田論文は、このことを痛烈に批判し、高坂弾正の覚書きという『甲陽軍鑑』の性格をふまえた利用が必要であるとして、あらたな方法論の開発をするべきだということを提起しています。
 その提起の背景には、酒井憲二編『甲陽軍鑑大成』に結実した酒井氏の一連の研究があります。

『甲陽軍鑑大成』第1巻 甲陽軍鑑大成 本文篇 1(1994年)

『甲陽軍鑑大成』第2巻 甲陽軍鑑大成 本文篇 2(1994年)

『甲陽軍鑑大成』第3巻 甲陽軍鑑大成 索引篇  (1994年)

『甲陽軍鑑大成』第4巻 甲陽軍鑑大成 研究篇 『甲陽軍艦』の成立と資料性(1995年)

『甲陽軍鑑大成』第5巻 甲陽軍鑑大成 影印篇 上(1997年)

『甲陽軍鑑大成』第6巻 甲陽軍鑑大成 影印篇 中(1997年)

『甲陽軍鑑大成』第7巻 甲陽軍鑑大成 影印篇 下(1998年)
  ※いずれも汲古書院刊

酒井憲二編著『甲陽軍鑑校注』序冊(勉誠出版、2013年)
『甲陽軍鑑』の最善本とされる「三井家旧蔵土井忠生本」に校訂、註を付したもの。残念ながら酒井氏は2012年に逝去されました。

この『甲陽軍鑑大成』により、『甲陽軍鑑』は中世後期の口語り的要素を残した文体として貴重な国語学史料とされ、拠るべき底本も確定されたのです。
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