デジタルカメラで史料を接写する

こんにちは、不識庵です。

久しぶりの更新になります。

今回はデジタルカメラで史料を接写するという話です。

最近、史料を撮影する機会がありましたので、その時に使った機材について書いておこうと思います。

ここでいう史料は、古文書であったり、古写真であったり、いわゆる紙物ですね。

今回の撮影場所は室内で、撮影機材などはすべて持ち込みでした。

撮影時に一番気をつけるのは、手ぶれだと思います。美術品を撮るわけではないので、露出などは二の次です(極論です)。手ぶれは補正が効きませんから。

手ぶれを防ぐには、シャッタースピードを早くすることが大事ですが、室内撮影だと十分な光量が得られないことが多く、シャッタースピードを遅くせざるを得ません。そこで、三脚とレリーズを使用することになります。レリーズは、フィルムカメラの一眼でしたら普通にシャッターボタンにねじ穴がありましたが、現在のデジタルカメラには無いようですね。私が使っているニコンのD7000にも無いので、リモコンシャッターを使っています。セルフタイマーでもいいんですが。

さて三脚を使うとこんな感じになります。

戦車模型の雑誌が被写体です。真横から撮っていないので分かりづらいかもしれませんが、被写体とレンズの中心が明らかにずれています。ちなみにレンズは単焦点レンズ40㎜です。これでは被写体はすべて写り込んでいません。ちょっと三脚をずらしてみると。

これでも撮れないことはないですが、照明の具合で三脚の足の影が気になるかもしれません。そこで三脚の足を伸ばすと。

レンズが単焦点なので、被写体が遠くなります。ズーム機能があればこれで撮れそうですね。しかし、テーブル上など場所が狭いと難しくなります。

エレベーター(真ん中の棒)の下に雲台を取り付けられる三脚であれば、下にカメラを付けられるのでより近接した撮影ができるでしょう。残念ながら私が使っているスリックPRO250DXⅡではできません。以前は大型の三脚を使っていましたが、腰を痛めてからはなるべく軽くて携行しやすいものを選んでいますので。

また三脚の足を伸ばすと、被写体との距離が離れ、実際の現場で一人で被写体を入れ替えたり、ページをめくったり、またその都度位置決めや照明の具合などのセッティングをするとけっこうな時間がかかりますし、半日でも続けるとたぶん腰をやられます。私はやってしまいました。

これは三脚を傾けて足が写り込まないようにする方法です。しかし、カメラの重みで倒れます。写真では見えない所で手で押さえています。両手が使えるように三脚を固定できればこれでも良いでしょう。

家でシュミレーションを重ねたのですが、手持ちの機材ではうまくいきそうもありません。
スポンサーリンク

そこで手に入れたのがこちら。スリックのスライディングアームⅡ(アマゾン商品ページへ)というものです。全長497㎜、全高102㎜、最大積載重量2㎏です。


製品名通り、アームが前後にスライドします。

ここに雲台を取り付けます。雲台は三脚の雲台を使用します。

この輪っかにはウエイトをぶら下げます。

上のツマミを緩めてアームをスライドさせます。下側は三脚との接合部分です。

角度を変えて見ると、ギザギザがあります。下のツマミを緩めるとアームの角度を変えることが出来ます。重いカメラを先端に付けますので、ギザギザでかみ合わせることにより、重みでアームの角度が変化するのを防ぎます。さすがにしっかりした作りになっています。

では、実際に三脚に取り付けてみましょう。三脚から雲台を外し、スライディングアームを付けます。

はい付きました。別に難しいことはありません。三脚との相性ですが、取り付けネジがU1/4、U3/8インチ両対応なので問題は無いと思います。

次に雲台を付けます。雲台取り付けネジはU1/4インチです。

雲台は、別に用意しようと思いましたが、今回は他にも揃えたい物があったので、三脚の雲台を使うことにしました。そこで問題になるのが耐荷重です。仕様では最大搭載重量は2㎏となっています。幸い三脚の雲台とカメラ(もちろんレンズ付き)を合わせた重量は範囲内に収まりました。カメラを付けますと。


ウエイトとしてカメラバッグをぶら下げています。アームの輪っかにカラビナを付けてバッグをぶら下げました。バッグの中には交換レンズ1本とアクセサリーが数点入っています。ウエイトを付けないとカメラが床とごっつんこします。

三脚が柔そうに見えますが、大丈夫です。ただバランスには気をつけた方が良いですね。現場でセッティングを変える時には、必ず被写体は外さないといけません。

SLIK 雲台アクセサリー スライディングアーム2】(アマゾン商品ページへ)

さて、ここからは他に用意した物を見ていきたいと思います。

まず最初は水準器です。今頃?と思われるかもしれませんが、今までは水平を出しやすい複写台を使うことが多かったので、あまり必要性を感じませんでした。


このハクバの水準器(レベラー)は、カメラのアクセサリーシューへの取り付け箇所が二つあり、タテ、ヨコ、下向きに付けることができます。また中にミラーが付いており、前後左右のレベラーが同時に確認でき、さらに蓄光であるというすぐれものです。

HAKUBA カメラ用水準器 ルミナスレベラー2WAY 一般用 KPA-08G】(アマゾン商品ページへ)


スポンサーリンク

次は、照明です。以前でしたら、ライト2灯とライトスタンドを持って行っていましたが、かさばるし重いのでやめました。そこでLEDライトがないかと探したのがこれです。


サンテックの小型LEDシューティングライトCN-T96(アマゾン商品ページへ)です。高さは全体で50㎝弱、重さは330gです。照度は1,850 lx(50cm)で、照射角度は109度。色味は白色です。分解するとこんな感じです。

かなりコンパクトになります。2灯にしようかなと思ったのですが、とりあえず1灯だけ用意しました。支柱が3点で曲がりますので、さまざまな角度を付けることができます。また頭でっかちになりますが、足が開くので安定性はあります。十分な照度があり、携帯性にもすぐれたライトだと思います。

サンテック LEDシューティングライト CN-T96 1灯キット 6764】(アマゾン商品ページへ)

さて、以上のような機材で臨んだ現場で撮影したものは、アルバムに貼られた古い写真でした。八つ切りサイズに近く、アルバムも大きめ、さらに撮影場所がテーブル上と狭かったので、三脚だけではかなり難しかったと思います。スライディングアームを導入して助かりました。これがあればどのような撮影環境でも対応できそうです。
スポンサーリンク

撮影場所は蛍光灯のある部屋(他に人がいたため暗室にはできない)で、しかも窓際だったため、外光の影響をかなり受けました。そのため外光が写真に反射してしまい、ライティングに苦労しました。無反射ガラスも使いましたが、面照射のこのライトでは反射しやすく、結局使いませんでした。2灯あった方が良かったかなと思いましたが、面照射では反射するかもしれませんね。ライトに庇を付けるとか工夫しないといけないかも。また進展がありましたら書きたいと思います。

         
       TOP     
    
© 2024 戦国史研究の窓, All rights reserved.