本の紹介:『埼玉県史料叢書12 中世新出重要史料二』

こんにちは、不識庵です。

ちょっと前に出た本ですが、あまり知られていないようなので、ご紹介したいと思います。

『新編埼玉県史』編纂以後、新たに確認された関係史料1200点余を掲載しています。

本書には、明応5年から天正18年までの史料が収録されています。大石氏、三田氏、古河公方、太田氏、渋江氏、佐々木氏、一色氏、野田氏、北条氏照、北条氏邦、北条氏房などに関係する史料です。

『新編埼玉県史』資料編6中世2古文書2と合わせ、武蔵国の戦国時代を調べる上で欠かせない史料集といえます。

2014年3月刊 A5判 404頁(ほか巻末に叢書11と12の史料別目録計91頁あり) 2160円
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本の紹介:戦国人名辞典

こんにちは、不識庵です。

「こんにちは」と言っても、いま夜ですが。
だいたい平日は仕事から帰って食事をすると、もうダウンです。年かな。

さて、今回紹介したい本は、『戦国人名辞典』です。この手の辞典は、あちらこちらの出版社から出ていますが、これは吉川弘文館が出したものです。
本体価格は、何と18,000円もします。これに消費税がプラスです。お高い。1216頁と分厚いです。

アマゾンで見ると、古本でも手に入るようですね。レビューはかなり低い。

『戦国人名辞典』(吉川弘文館)(アマゾン商品ページへ)

その理由は、内容が偏っているためです。版元の解説を見ると、北条・武田・上杉・今川・徳川などの大名とその家臣を中心としているとあります。そもそも、この辞典は戦国史研究会という学会の会員が主体となっています。ですので、とくに北条氏の家臣はすべて網羅されているといっても過言ではありません(戦国史研究会の前身は後北条氏研究会です)。
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これを知らずに買ってしまったのでしょう。約2万円は痛いよね。でも東国のことを調べる人は、持っていないとだめですよと言いきれるほどの充実した内容があります。一つは、古文書を中心とする史料に依って執筆されていること。そんなの当たり前じゃんと言うあなた。他の辞典を見てみなさい。違いがわかるでしょ。また典拠が明らかであること。紙幅に余裕があれば、集めた資料すべてを載せる勢いだった人もいました(誰?)。

執筆者は一から文書を集め、並べ、解釈して、執筆しているのです。実は私も執筆者の一人でした。誰これ、という人物を調べるのは大変。また有名な武将で史料がありすぎても大変、でした。

執筆者によって、内容にずれがある場合があります。本来ならば、すりあわせる必要があったと思います。しかし、この辞典は、当時最先端の研究者が執筆した最新の成果であり、項目の一つひとつが言わば研究なわけです。違いを見つけたならば、なぜ意見が違うのか、さらに調べる楽しみ(?)もあります。おざなりの辞典よりかは、なんぼかマシでしょ。

もう2006年というだいぶ前に刊行された辞典ですが、今ふと本棚にあるコイツを見て、当時の苦労というか、面倒だったなという感慨がこみ上げてきて、また版元では在庫僅少ともありましたので、今頃ご紹介いたしました。

買わなくても良いです。図書館で見て、使ってください。
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