おすすめ 論文を書く上で読んでおきたい本
論文の書き方については、様々な本が出ていますが、ほとんど読んだことはありません。ただ、下記の本は参考になりましたので、みなさんに紹介したいと思います。
木下是雄著『理科系の作文技術』(中公新書、1981年初版)(アマゾン商品ページへ)
理科系と謳っていますが、作文技術に理系も文系もあるわけがありませんので、タイトルで躊躇しないでほしいです。
〈目次〉
1.序章
2.準備作業
3.文章の組立て
4.パラグラフ
5.文の構造と文章の流れ
6.はっきり言い切る姿勢
7.事実と意見
8.わかりやすく簡潔な表現
9.執筆メモ
10. 手紙・説明書・原著論文
11.学会講演の要領
文系の人が書く文章はまわりくどくあいまいな表現が多いので(私も含めて)、本書の「文は短く」「まぎれのない文を」「読みやすさへの配慮」への実践論はとくに参考になると思います。
「論文の書き方の本文」でも書きましたが、論文は人に読んでもらうものです。独りよがりの訳の分からない文章では、“はじめに”を読まれただけで投げ出されてしまうかもしれません。ですので、明確に主張を読み手に伝え、かつ読み手を納得させることが大事です。そのことを本書は気づかせてくれます。
大学院に在籍していた時に、ある後輩に本書を薦めたことがありましたが、●●さんのようにすでに論文を書いている人はともかく、自分のような書いてもいない人間には早いと拒否されたことがあります。
その時、私はもったいないなと思いました。すでに何本か書いていた私は、その上で本書はためになると思ったからこそ薦めたのに、読みもしないで受け付けなかったからです。とにかく素直に受け止めて、大学の図書館で斜め読みでもしてもらえたら良いのにとその時には思いました。
私は、人にこれ良いよと言われるがままに、論文などをコピーしてひたすら読んでいた人間でした。だからあなたも素直に受け入れなさいよと思いつつも、一方では気づきには人それぞれのタイミングがあるから押しつけはいけないのかなとも思って、それ以降は誰にも本書を薦めませんでした。
でも、やっぱり目を通しておいて損はないと思いますので、お薦めしたいと思います。
※最近、漫画版が出ました。
【まんがでわかる 理科系の作文技術】(2018年)(アマゾン商品ページへ)
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