こんにちは、不識庵です。
さて、今回は必要に迫られて手に入れた論文や資料の整理について書こうと思います。
研究を進めていくと、先行研究などが手元に集まってきます。
本であれば本棚に収めればいいですね。ただし本棚にスペースがあればの話ですが。私の場合、本棚にはこれでもかと本を押し込んでいて、もう入る余地がありません。あふれた本は床に平積みになっています。それでも本はそれなりの厚さがあって背表紙も付いていますから、何となく在処が分かります。
在処が分かるというのは大事で、必要な時にぱっと探し出せれば、どこに置いてあろうが良いわけです。一番の理想は、図書館の開架書庫のように背表紙を見せて並べることですが、私のような庶民研究者にはとうてい無理なことです。
とにかく本は良いとして、問題なのはコピーした論文や資料です。
これはペラペラで自立できない。だから平積みをする。またコピーした物をその上に積む。そうするといつの間にかどんどん積み上がっていき、目的の論文の在処が分からなくなります。どこにあの論文はあるのか、発掘作業が始まるというわけです。そのうち探すのも面倒になって、またコピーしてしまう。この状況を何とか解消したい。多分、多くの学友が同じような悩みを抱えているのではないでしょうか(と、思っています)。
そこで、参考程度ですが、私が以前から行っている整理方法をご紹介したいと思います。
写真は、コクヨのスチール本棚の上に積んでいるコクヨのファイルボックスです。ボックス内にコピーした論文などを収めています。
ボックスの下端に手書きで「アー1」とか書いてあります。これはア行の著者の論文が入っているということです。ア行のボックスは現在「アー5」までありますから、ア行の著者の論文は5箱分あるということになります。次はカ行、サ行というように、著者名の五十音順にボックスに収めています。ですから探すときにア行の著者の論文は、少なくとも5箱分を捜索すれば見つけ出せるということになります。
ファイルボックスの大きさはB5サイズです。上の写真で分かるように、コクヨのスチール棚にぴったりと収まります。
コクヨのファイルボックス。ふた付きです。タテ置きでもヨコ置きでも使えるようになっています。ふたが付いているのでほこりが入りにくいです。部屋の掃除をこまめにする方は、ななめにカットされたスタンドタイプでも良いでしょう。ただしスタンドタイプのほとんどはA4サイズとなっています。
このB5サイズのファイルボックスは、背幅は102㎜、収容幅は95㎜となっています。色厚板紙を用いたしっかりした作りで、表面には特殊コーティングが施されて汚れにくくなっています。私は青色で統一していますが、他にグレー、ピンク、グリーン、イエローがあります。
ヨコに置くと手前に穴があり、引き出すときに地味に便利です。私はここに服をかけたハンガーを引っかけることがあるので、ボロボロになってしまっています(笑)。
著者ごとに分けて論文を封筒に入れる
ふたを開けると、ボックスの中はこのようになっています。封筒がびっしりと並んでいます。封筒を引き出すとこんな感じ。
封筒の左上に著者名を書いています。封筒を著者ごとに作り、中にその著者の論文を入れています。そして、この封筒をボックスの中に五十音順で収めています。
以上をまとめると、
コピーした論文等→その著者の封筒へ入れる→封筒をファイルボックスに収める
という手順になります。簡単ですね。
封筒が増えればボックスが増えていくということになります。もし、一人の著者の論文が増えて封筒に入りきらなくなれば、封筒を複数に増やしていきます。その際には、封筒に書く著者名の所に枝番を付けます。
最初は、封筒を使わずにコピーをそのままボックスに入れていました。そうすると、ホチキス留めしているので、ぎゅうぎゅう詰めの中から特定の論文を取り出すときにホチキスの針が引っかかってしまうなどストレスを感じていました。ですが、封筒に入れるとすんなり出し入れできるようになったのです。また、目的の著者をすぐに見つけられることも大きいですね。
使っている封筒は、マルアイの角形4号です。ぴったりとボックスに収まります。100枚単位で買えば、コストもあまりかかりません。コクヨのファイル個別フォルダーもきれいで魅力的ですが、コストは封筒に比べて10倍近くに跳ね上がります。
封筒のサイズは197㎜×267㎜です。B5サイズの封筒には大きめのサイズもありますが(角形3号)、B5サイズのファイルボックスに入らないので注意して下さい。
ファイルボックスをB5サイズにした訳
私は、ファイルボックスをB5サイズで統一していますが、コクヨのファイルボックスにはA4、B4、B41/3、A3サイズもあります。このうち材質や背幅などバリエーションがもっとも豊富なのはA4サイズです。
A4サイズでももちろんかまいません。そこはお好みですね。また、他メーカーのものでも当然大丈夫です。私はたまたまコクヨを使っているに過ぎません。
さて、論文のコピーの大きさは、掲載している本や雑誌の大きさによります。
私は、基本的に原寸大でコピーするので、A5判の雑誌であれば見開きにしてA4サイズでコピーします。コピーしたら1枚ごとに二つ折りにし、ホチキスで留めて冊子形状にしています。こうした方が読みやすいんです。こうすると結果的にA5サイズとなります。B5の封筒に余裕で入ります。
人によっては、A4見開きのままで、右上をホチキス留めにする場合もあります。でもこれだと読みにくいんです(個人の感想です)。へにゃっとなって持ちにくいのが嫌ですね。寝転びながら読んだりする私にはだめです。やっぱり折って張りを持たせた方が断然読みやすい。論文を読むこと自体がストレスなので、それ以外のストレスは無くしたいですね。つまらない論文を読まなければならないのなら尚更です。
B5判の雑誌は、見開きB4サイズでコピーします。これも二つ折りでホチキス留めにします。これもまたB5の封筒に入ります。
問題なのはA4判の雑誌です。何年前か忘れましたが、日本の公文書が国際標準のA4サイズになった時に、様々な出版物がA4判化しました。研究雑誌のなかにもA4判化したものがあります。ほとんどが公的機関の刊行物だと思います。B判に慣れた目には、A4サイズがやたら大きく感じたことを記憶しています。
A4判のものは、セルフコピーであれば見開きA3でコピーします。当然、二つ折りホチキス留めにします。下の写真のものは、国会図書館の遠隔地複写サービスで取り寄せたもので、頁ごとの片面コピーになっているので、例外ですね。
A4判のものは、下の写真を見ればそのままでは当然B5サイズの封筒に入りません。そこで半分に折って入れます。なお、一番手前の論文では、表紙にあるコピーした論文のタイトルに蛍光ペンでラインを引いています。こうすると1枚めくらなくてもどの論文か分かります。
以上のように、私の場合B5サイズを基準として整理を行いました。この場合のデメリットは、A5、A4サイズのコピーの収納にあります。
A5判雑誌は、コピー代の削減のため当然に見開きA4でコピーします。私のように二つ折りにすると厚さが倍になります。A4判雑誌も同様です。A4サイズのファイルボックスにすれば二つ折りにしなくともそのまま入りますから厚さは軽減されます。ただし奥行きが大きくなり、スペースがB5サイズと比べて余計に取られるように思います。
解決策としては、両面コピーしてなるべく厚さを減らすことでしょうか。それと、個人の論集が出たら買って、重複する論文は捨てることですね。論集が出た場合内容を訂正していることもありますので、初出年は大事ですが、研究としては論集所収の論文を参照するべきですから。
論文を綴じるホチキスはどれが良いか
整理にあたって、封筒、ファイルボックスの他に、重要なのはホチキスです。
上の写真のような一般的なホチキスがあれば大抵の場合間に合います。どこでも売っていて、家の中を探せばきっと針が出てくるでしょう(笑)。
ところが枚数が多くなると留めることができなくなります。そんな時に使うのがMAXのバイモ11です。
これは、2~40枚程度の枚数をとじることができ、しかもとじ足もフラットに仕上げることができます。しかもあまり力を入れなくてもとじられる。便利ですね。
バイモ11は、フラットの他にバリエーションが二つあります。
さらなる小型化と軽量化を実現して、ダイヤモンドを思わせる多面体デザインが特徴のバイモ11 ポリゴ。
女性の声を反映して、最適なプロポーションを追求し、握り部分の体積を15%カットしてスリム化を実現したバイモ11 スタイル。
使用針はすべて共通です。
しかし、バイモ11でも留められない枚数の時はどうするか。
その答えはこれです。巨大ホチキス、マックスのHD-12S/17です。これの導入前は、クリップで留めたり、穴を開けて綴じ紐でとじていました。
たまに、なんでこんなにと思うほどの長大な論文があったりします。また、高くて買えないよ(買うほどでも無いな)、あるいはもう手に入らないよという本はコピーします(ちゃんと著作権を守ってね)。そんな場合、このホチキスの登場です。
使用する針は3種類です。表示にあるように、1210FA-Hは30枚~70枚、1213FA-Hは50枚~120枚、1217FA-Hは120枚~160枚をとじることができます。この中で使用頻度の高い針は1210FA-Hですね。これで綴じて、製本テープで保護すれば完璧です。
このホチキスを使うときには、失敗しないように気をつけます。失敗した時、針を抜くのが面倒なのです。まずペンチは必須です。あとは、付属のリムーバで取り去ります。
これを買うには結構勇気が要りました。何せ高いので。30年前ほどの昔、東急ハンズで悩んだ記憶があります。でも買えば、ほぼ一生ものです。針も買い足していません(ということはあまり出番が無いのかも)。現在のものはちょっと形が変わっていますね。
ちょっと寄り道。著作権の話
コピーする時にぶつかるのが著作権です。
個人の論集だと、本の半分までは大丈夫です。
ただし、複数の著者による論集では、一本の論文についてその半分までとなります。一方、雑誌の場合には論文一本のコピーができます。何で?この理屈がよく分かりません。
論文の著者は手弁当で書いています(たぶん)。つまり原稿料(現金)をもらっていません。その代わりに、論集の場合は本を1冊もらうくらいです(個人の論集の場合は複数冊かな)。
論文は引用されてこそ意味がありますから、できるかぎり多くの人に読んでもらう必要があります。ですから本が買われても、コピーされても、どちらでも著者の目的は果たされることになります。
コピーされて困るのは、出版社ですね。本を出すことで利益を上げる企業は、売れなくなると困るわけです。
でも専門書は、その分野の研究者の人数なんてたかがしれてますし、大学などの図書館も数に限りがあります。しかも、著者は関係する人に抜き刷りを作って配ったりします。そうするとますます本は売れません。だから出版社は大体さばける部数をはじき出しているはずです。現在は、300~400部という部数で、定価8千円から1万円余くらいで利益を出しているのではと思います。
専門書の場合、著作権は著作者の権利よりも、出版社の利益を優先しているように感じます。
若い人に高い本を買えといっても無理がありますし、大学や研究機関に所属していないと専門書の閲覧もハードルが高くなるので、市区町村立の中央図書館あたりで揃えてくれるとうれしいですね。そうすればもう少し興味を持つ人が増えるのでは。あと、近年一般書がやたらに出るのも、専門書の売れ行きが芳しくないためかもしれませんね。
寄り道はここまで。
電子化の夢
紙が増えるにつれ、電子化できないものかと考えたことがあります。
コピーですから、漫画の自炊のように破壊する必要はなく、そのままスキャニングすることは容易だと思います。保管スペースが極端に減り、また在処を探す手間が省けますから、魅力的だと思いました。しかしながら、未だに実行していません。
ただ、紙で持っている方が、いくつかの論文を突き合わせたり、論文に線引きや書き込みがしやすい、付箋を付けやすいなどのアナログ的なメリットも捨てがたいですね。同じ事をパソコン上でするとなると、それなりの設備が必要になります。結局、労力とお金がかかりますので、もう大量に紙が手元にある現状では、残された時間を考えると無理なようにも思えます。ですから、長く研究を続けようと思う方には早めに対策を考えることをおすすめします。
集めた論文や資料はデータベース化する
最後に、集めた論文などは、刊本所収のものも含めて、データベース化しています。使っているソフトはロータスのアプローチです。何それ、という方も多いのでは。
私は、最初に買ったパソコンがIBM製品で、アプローチがインストールされていたことから、何となく使い始めました。その後パソコンを買い換え、現在ウィンドウズ7機を使用していますが、これにもアプローチを入れています。現在のソフトは、ソースネクストが出していたロータススーパーオフィスに入っているものです。もう販売は終了しているようですね。マイクロソフトのアクセスなどと比べて使いやすいのかどうかは分かりません。今後パソコンを買い換えてOSが変わった時に使えるかどうか不安です。
とにかくソフトはエクセルでも、ワードでも何でも良いので、論題と著者と刊行年はデータ化した方が良いですね。論文が増えてくると、検索できるデータがあった方が便利です。論文の数と人間の記憶力は年と共に反比例しますから。