模型製作の道具

私がふだん使っている道具をご紹介します。

(切る、削る、磨く編)

模型は、とにかくランナーから部品を切り離す、ゲートの処理をする、バリを取る、パーティングラインを消すが基本です。切る、削る、磨くという作業を延々と繰り返していきます。そして部品同士を接着していき、形を作り上げていきます。さらに合わせ目や押し出しピンの跡、ヒケ、ゆがみなどをパテなどで埋めていく場合もあります。
これを苦行と思うか、喜びと思うかは、あなた次第です。
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部品をランナーから切り離す

ランナーから部品を切り離すためにニッパーを使います。子供の頃は手でねじ切って取っていましたけれど、大人はそんな野蛮なことはいたしません。

主に使っているニッパーはタミヤ製(上の写真)の精密ニッパーです。ニッパーは構造上両刃を狭めて、最終的に押し切ることになりますので、部品のぎりぎりラインに刃を当てると部品を損ねる恐れがあります。ですから少し端から離して切る必要があるでしょう。とくにクリアーパーツは固くてもろい材質が多いので注意が必要です。

タミヤからは様々なニッパーが出ています。タミヤは以前はあまり道具類は充実しておらず、昔は精密ニッパーのみでしたが、やはり時代の移り変わりかな(昔って何十年前の話だけれど)。

【精密ニッパー】

【薄刃ニッパー(ゲートカット用)】
※精密ニッパーの刃先を薄く、細くしたもの

【モデラーズニッパーα】
※高炭素鋼を焼き入れ熱処理した耐久性に優れ、シャープな切れ味

【先細薄刃ニッパー(ゲートカット用)】
※薄刃ニッパーの刃先をさらに細くした

【クラフトニッパー】
※硬く太いゲートのカットに最適

ただし、ゲートがあまりに太い時や、またクリアーパーツである時などは、さすがに精密ニッパーを使うことはためらわれます。この時は、クラフトニッパーが無ければ、使い古していてもう刃が欠けてもいいやと思っているニッパーがあれば、それをちゅうちょすることなく使いましょう。もちろん、この時には十分に部品からニッパーを離して切り離すべきです。
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最近では、ゲートが細い場合など条件が良ければ、ゴッドハンドのアルティメットニッパーを使っています。

このニッパーは、片刃のみで、反対側は受けになっています。ですので受けの方を部品の端ぎりぎりに当てておき、片刃を上から下ろす感覚で切るときれいな断面で切り離すことができます。普通のニッパーのように使うと刃が痛みます。またあまり太いゲートやクリアーパーツでの使用は避けた方が良いでしょう。高価ですが、それなりの価値はあります。使う使わないはあなた次第です。

 

部品のゲート跡をきれいにする

ランナーから切り離した部品にはおそらくゲート跡が残っていることでしょう。ゲートが残り過ぎていれば、アルティメットニッパーか、デザインナイフで落としましょう。ある程度落としたら、次はヤスリできれいに仕上げていきます。
ヤスリには主に金属製、紙製、スポンジ製があります。


上2本はタミヤ製で、上が平、下が丸です。一番上のヤスリは目が粗すぎてほとんど使っていません。その下2本は三角。その下2本は丸。次の4本は平。最後は平丸。タミヤ製とミネシマ製が混在していて、どれがどちらなのかはもう分かりません(笑)。
一番よく使っているのは、下から2番目の平です。幅広で、目が細かいのがいいです。だいたいこれでやすって、サンドペーパーをかけて終わりです。

【ミネシマ5本組ヤスリHー14(平・四角・三角・丸・甲丸)】

ミネシマ製は安くて、使いやすいのでおすすめですね。

最近購入したクレオスのGツールシリーズ匠之鑢・極 玄人 油目(MF12)です。

油目とは、ヤスリの目の種類の一つです。目の大きさは、荒目、中目、細目、油目の順に細かくなっていきます。荒目は粗仕上げ、精密な仕上げには油目といったように使い分けます。ですから、これは仕上げ用のヤスリとなります。このヤスリ非常に良い。仕上げにこれを使えばきれいな面が出ます。

【匠之鑢・極 玄人 油目(MF12)】

また匠之鑢には単目という製品もあります。単目とは、目の切り方の種類の一つです。ヤスリの目の切り方は、単目(筋目)、複目(綾目)、鬼目(わさび目)、波目(フライス削り目)があります。粗仕上げには波目、中仕上げには複目の中目・細目、仕上げには複目から単目を使います。

【匠之鑢・極 雲耀 単目・細(MF13)】
※細目

【匠之鑢・極 雲耀 単目・粗(MF14)】
※荒目

 

パーティングラインを消す

そして必ずやる作業。それはパーティングラインを消すことです。

模型の金型は二つに分かれていますから、どうしても合わせ目ができます。その部分に少しプラが外へはみ出てしまうのです。これがパーティングラインです。そして金型が痛んでいたりすると、もっとはみ出て薄い膜のようなものができる場合も。これがバリというやつです。ひどい時は、金型がずれていて部品の形がおかしくなっていることもあります。某社の陸自車輌の転輪の軸がずれているとかですね、ごくたまにあります。ですので、金型が痛んでいない初期生産品を買うとか、するわけです。

それからパーティングラインは必ず消さなければならないのか。
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そういうわけでも無いんですね。戦車も工業製品ですから、鋳造部分などは結構ラインがあったりします。でも実物や写真を見なければ確認できませんし、1/35サイズではラインがあるとオーバースケールのような気もしますので、たいてい消しています。

さて、パーティングライン消しの王道はデザインナイフでしょうか。

上がモデラーズナイフ、下がデザインナイフです。いずれもタミヤ製です。どのような違いがあるのかは分かりません。また2本も持つ必要はありません。私の場合、一度道具類が行方不明になったことがあり、再び買いそろえた後に発見されたためです。ゲート処理、パーティングライン消しなどはもちろん、繊細な刃先を利用した細かい作業もやってくれる欠かせない道具です。

【デザインナイフ 74020】
※カッターナイフに比べて刃がシャープ

【デザインナイフ替刃30枚セット 74074】

【モデラーズナイフ 74040】
※細かな作業が得意。

【モデラーズナイフ替刃25枚セット 74075】

【モデラーズナイフ PRO 74098】
※モデラーズナイフのハイグレード版。直線刃3枚、曲線刃2枚、平刃2枚をセット。

【モデラーズナイフ替刃(直線刃)5枚 74099】

【モデラーズナイフ替刃(直線刃)3枚 74100】

【モデラーズナイフ替刃(平刃)10枚 74101】

しか~し。強力な武器を手に入れました。

上から、サーフェスナイフ(TT31)、モデリングヂゼルのノミ幅3ミリ平(TT9)、同じくノミ平細(TT4)。いずれもハセガワのトライツールです。

これはサーフェスナイフ(TT31)の刃先。斜めにカットされています。

サーフェスナイフはパーティングラインを消すのに大変便利です。デザインナイフだと刃先がしなってしまうことがあります、これはそうなりません。的確に、素早く作業ができます。そしてデザインナイフの出番が確実に減っています。

【ハセガワ トライツール サーフェスナイフ TT31】

モデリングヂゼルは、極小のノミです。いずれも平ノミ。パーティングライン消しにはあまり使わないですが、一緒にご紹介しておきます。
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最初はノミ平細(TT4)を買いました。目的は模型の手すりを削って、真鍮製手すりを付けるためです。刃先はこんな感じ。

使ってみると、少し押すだけで、スゥーと削れていきます。ですから、なるべくノミを寝かせて、押していくと引っかかりがあれば勝手に削れていくような感じです。調子に乗ると削りすぎます。

【ハセガワ トライツール モデリングヂゼル 平細 TT4】

後に幅3ミリ平(TT9)を買い足しました。刃先はこんな様です。

購入した理由は、押し出しピンなどのある程度大きな面を削る必要があったためです。押し出しピン跡は、凹ばかりではなく、凸の場合もあります。外国製品に多いですかね。とにかくよく削れるので、高価ですが買って損はしないと思います。 刃先が鈍くなったら、付属の砥石で研ぎます。

【ハセガワ トライツール モデリングチゼル 片刃平 TT9】

ただ問題なのは、あまりの鋭さにも関わらず専用キャップが無いのです。仕方がないので、切った梱包材に差して仕舞っています。

これもそうですが、ナイフやニッパーなど鋭利な刃物はその取扱に十分気をつけなければなりません。作業している場所を離れる時には必ずキャップを付けるか、仕舞うかする癖をつけましょう。戻ってきた時に床に転がっているナイフを踏みでもしたら大事になります。人間はすぐ忘れますので、忘れないうちに対処しましょう。それと、接着剤のフタも閉めましょうね。
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これは、ガイアノーツのマイクロセラブレードです。といっても刃先だけで、柄の部分はNTデザインナイフDー400Pを使用しています。

一見するとデザインナイフ?と思いますが、実は違います。セラミック製で、ナイフのようなものですが、刃は付いていません。少し厚みがあって、角でパーティングラインを削っていく感じです。デザインナイフは指に刺すと大事になりますが、これはそんな心配もいりません(個人の見解です)。アマゾンのレビューを見ると結構高評価なんですが、私は使い方が悪いのか、どうもうまくいかないですね。デザインナイフや、すでにご紹介したサーフェスナイフの方が使いやすいです。

【ガイアノーツ Gー12 マイクロセラブレード】

【ガイアノーツ Gー13 マイクロセラブレード替刃】

なぜ柄が違うのかって。実は、ガイアノーツからは刃と柄がセットになっているマイクロセラブレード(Gー12)と替刃(Gー13)が販売されています。普通でしたらGー12を買って、刃がなまったり欠けたりしたら替刃のGー13を買いますよね。でもですね。この柄の部分は、NTデザインナイフDー400Pと同等品なんですよ、あなた。価格を比較すると、Gー12が900円、Dー400Pの229円+替刃の1,060円で1,289円です(すべて実売価格)。替刃(Gー13)は3枚入りなので、1枚あたり353円余となります。結構高いね。一方Gー12は刃が1枚のみですから、900円から353円を引くと547円になり、229円のDー400Pとの組み合わせで買った方が結局はお得ということになります。さあ、あなたはどっち。

【NT デザインナイフ Dー400P

ここまでいかにも道具といった感じで来ましたが、忘れてはならないのが紙ヤスリです。縁の下の力持ちです(?)

いずれもタミヤ製のフィニッシングペーパーです。番号は目の大きさで、数字が大きくなるほど細かくなります。同社では、荒目から180、240、320、400、600、800、1000、1200、1500、2000番が揃っています。サイズは約93ミリ×226ミリで3枚入りです。水をつけて水研ぎにも使え、もちろんはさみで切って自由な大きさにできます。

一番良く使うのは600番ですね。頑固な部分は320番か板ヤスリでやっつけて、その後600番を使って仕上げています。1500番は買ってから一度も使っていません(笑)。どこまで仕上げるかはカーモデルなどとも違うでしょうし、第一好みの問題でしょうね。

またスポンジヤスリというのもあります。曲面を仕上げる時には便利です。私も持っていますが、なぜか使っていません。
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手で紙ヤスリをかけていると時々イライラすることがあります。疲れますし。

そこで電動ヤスリ。これはIクレオス製のMr.ポリッシャーPRO(GT07)です。

また効率化のために買ってみました。
ヘッドに付いている黒い丸がサンドペーパーで、いくつか番手があります。ヘッドが振動してやすることができます。電池式で、当然だんだんと力が弱くなりますので、ガシガシ削るという感じはありません。
また細かなヤスリがけには向きませんので、ほとんどの場面では使いません。今は押し出しピン処理など、ある程度面積のある面を平滑にする場合に使っています。押し出しピン処理には便利ですね。
一応、番手を変えられるように、予備のヘッド(GT41)も買いましたが活躍の機会はまだありません。

【Gツール GT07 Mr.ポリッシャーPRO】

【Gツール GT41 Mr.ポリッシャーPRO用交換ヘッド】

削るための道具。左はシモムラアレック製の職人堅気 精密R面切削ツールRボコ(ALーK25)、右は同じく精密F面切削ツールFーV6(ALーK33)。

左はR面を削るためのもの。砲身の合わせ目や棒状のパーツのライン消しに便利です。一方の右はF面を削るためのもの。角や細かな所にピッタリと合います。よく削れます。ですが高価です。あれば便利というもの(無くても平気)。

【職人堅気 精密R面切削ツール Rボコ ALーK25】

【職人堅気 精密F面切削ツール FーV6 ALーK33】

(今回はこのへんで終わります)
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1/48 ドイツ軍 Ⅲ号突撃砲G型初期型

ドイツ軍 Ⅲ号突撃砲G型初期型
1/48 タミヤ


Ⅲ突G型初期です。やっぱり格好がいいですね。

突撃砲は、歩兵戦闘を直接支援するために設計された装甲車輌です。戦車と違い固定式の砲は射撃角度が狭いことが特徴です。運用方法は、歩兵支援の他、陣地攻撃でした。

ところが大戦も半ばになると戦車の脅威が増し、突撃砲も対戦車戦闘へと駆り出されることになります。そのため、長砲身75ミリ砲を搭載され、30ミリ厚の増加装甲を取り付けられて80ミリ厚となるなど攻撃力・防御力を強化されました。この結果、自走対戦車砲という扱いに変わっています。そして、敗色濃いドイツ軍の防御・撤退戦闘に威力を発揮したのです。

このG型は最終型ですが、初期型の部類に入ります。防盾が箱型なところが無骨で良いですね。後期型になるとザウコップ型という形に変わりますが何か動物っぽいです。G型は8,000輌近く生産されました。各型式のうち一番多いそうです。ドイツの工業力はすごいね。
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さて、塗装はサーフェイサーを吹いた上に、マホガニーを下地色として塗り、ダークイエローを吹き付け、レッドブラウンで迷彩を施しています。キングタイガーの迷彩を塗った翌日に行いました。多少ボカシを入れていますが、こんなものかな。最終的にシュルツェンを装備する予定です(平成19年5月20日)

完成しました。汚しはウォッシングにパステルだけです。やや強めにパステルをこすりつけたので、写真に撮ると粉っぽくなっています。つや消しをもう少し吹いてもよさそうですね(平成19年8月5日)。その後、少しつや消しを吹いてみました。

1/48 ドイツ軍 Ⅲ号突撃砲B型

ドイツ軍 Ⅲ号突撃砲B型 1/48 タミヤ

出戻り第1作目です。本当はこの前に1/72の装甲車(ハセガワ製)を製作しています。

高校生まで夢中になっていた模型製作。出戻りまして、ふたたび作ることに目覚めてしまいました。そのきっかけは、海洋堂のワールドタンクミュージアムです。職場で食玩ブームがおき、そのなかで1/144という精巧な戦車模型に出会いました。ほぼすべて集めたのですが、今度は自分で作りたいという欲求に駆られてきました。

しかし1/144サイズでは小さすぎるし、かといって1/35では余りにもすごすぎる世界に昇華してしまっている。時間もお金もそんなにかけられない私は模型雑誌を見ながら悶々としていました。その私を救うかのように現れたのが、タミヤの1/48戦車模型でした。組み立てやすさと、塗装の楽しさをほどよく味わうことができます

1/48製作のきっかけは、この車両の登場でした。1/35にも無いし(当時)、格好いいし、文句のつけようがありません。素組みです。簡単に組みあがってしまい、驚きました。
塗装はサーフェイサー、その上にマホガニー(ミスターカラー)を下地色として吹き、基本色のジャーマングレー(タミヤスプレー)を吹いただけです。ただ、車体下部にマホガニー色が残るようにしています。転輪、装備品などは、アクリルで塗り分けています。エナメルのブラックでウォッシング、バフでドライブラシをし、所々を銀でハゲチョロにしています。
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いやー、面白いね。とくに面倒なキャタピラも組みあがると非常にリアルでいい。ちなみに転輪、キャタピラをすべて車体にくっつけてから塗装しています。ですから筆の届かないところもあり、ムラがありますが、またそれも味と思います。

下の写真は、1/48戦車の大きさを感じてもらうために、タミヤのアクリル塗料のビンを側に置いたものです。ちなみに、戦車はパーシングです。比較的大きい車体のパーシングでもこの程度の大きさなので、コレクションをするには最適だと思います。

次の写真は、1/35と1/48のタイ ガーⅠを並べたものです。ずいぶんと大きさが違いますね。1/35タイガーⅠは、ウン十年前に作ったものが、最近出てきたものです。1/48の大きさに慣れてしまった目には、1/35のサイズが何だか気持ち悪く感じました。1/35がこれだけ大きいと、ディティールアップをしたくもなりますし、またある程度しないと、面が広いことから、間延びした感じになりますね。

その点、1/48はストレート組みでも、凝縮感があり、気軽に組み立てられることも相まって、グッドなスケールサイズだと思います。石油も高いしね。ただ、最近のタミヤのラインナップを見ていると、戦車が少ない。それもドイツが。どうも、コンセプトにぶれがあるのか、それとも当初の飛行機と組み合わせるという狙いに回帰したのか。戦車を出し、それに飛びついた人間がいることも、わかってほしい。戦車出して。今のところ、期待しているのは、くろがね四起を出したので、いよいよ日本軍戦車が登場か、ということ。そうなれば、買いますよ(その後はラインナップの豊富な1/35に移ってしまいました)。
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