1/35 日本陸軍 九七式中戦車チハ 新砲塔型

九七式中戦車チハ 新砲塔型 1/35
タミヤ


日本軍車輛第2弾は、新砲塔チハです。主砲は、一式47ミリ砲で、口径47ミリ、砲身長は48口径、初速は810m/sec。車体も変更されており、後部の排気口を閉鎖して、トラックカバー下から冷却空気を排出する方式となっています。このため防御力の向上がはかられるとともに、エンジンの冷却効果も高まったそうです。昭和17年5月のフィリピン・コレヒドール島攻略作戦が初陣でした。

製品は、タミヤらしく、かっちりと組上がります。しかし、いろいろ調べると各工場で生産された特徴を混在させているようです。例えば、展望塔ハッチの手すりの位置、工具やジャッキの装備位置などが工場により違うようです。一応、三菱重工製ということで組み立ててみました。車体上部の手すりを廃止し、展望塔のハッチを前後入れ替えました。皆さんは、きちんと資料を見て研究してください。
※日本陸軍戦車の資料本を紹介

現在(平成20年9月21日)、車体の組み立ては完了しましたが、ある点のためストップしています。それは、転輪のゴムです。実車の写真を見ると、ゴム部の中央が溝のようにくぼんでいます。模型雑誌でも、そのようなことが記され、また作例もその溝を表現しています。さて、どうしたものか考え中です。

平成21年9月15日。ようやく完成しました。なんと車体の組み立てから一年もたってしまいました。その間に幻の五式中戦車が発売されるなど、気が付けば日本車輌の世界は確実に広がっているんですね。さて、懸案の転輪ゴムの溝ですが、いろいろ実車写真を見るとやはりあるんですね。やっかいなことに。仕方がないので、三角ヤスリと丸ヤスリを用いて、ゴリゴリ削りました。溝はガタガタになってしまいましたが、塗ってしまうと感じよく仕上がってしまいます。多少彫りすぎですが。マーキングは北千島に駐屯した戦車第11連隊です。
現在、ファインモールドやドラゴンからチハが続々と発売されていますが、新砲塔型はタミヤとファインモールドだけです。タミヤのチハは組みやすく、少し手を入れれば見栄えがよくなります。しかし、ドラゴンのチハ(旧砲塔型)は転輪の溝が初めて表現された画期的な製品です。同社からは、将来新砲塔型も出ることが予想されますので、ちょっと期待しています。

ファインモールド FM21 1/35 帝国陸軍 九七式中戦車(新砲塔チハ)
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日本陸軍戦車の資料本を紹介

九七式中戦車チハほか

左から、
『グランドパワー 261号 日本陸軍九七式中戦車』(ガリレオ出版、2016年)2,420円(税込)
『日本陸軍の機甲部隊1 鋼鉄の最精鋭部隊』(大日本絵画、2008年)4,800円(本体)
『日本陸軍の機甲部隊2 大陸の機甲戦闘演習』(大日本絵画、2009年)4,800円(本体)

グランドパワーは、総頁数144頁のうち14~113頁がチハ関係の写真・資料であり、もう一冊がチハと言っても過言ではありません。巻頭カラー写真(1~13頁)は陸上自衛隊「東部方面隊創立56周年記念行事」の写真集で、陸自車両がこれまた多数載っております。これはこれで良いですな。
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さて目次を見ますと、ファインモールド社長鈴木邦宏氏の「九七式中戦車の開発」、戦車等の研究者国本康文氏の「九七式中戦車の主砲」の二論文が掲載され、さらに『九七式中戦車保存取扱教程』(陸軍機甲整備学校、昭和17年12月)が一部抜粋の形で収録されています。

教程を読んでいてびっくりしたのは転輪の記事でした。チハには片側6組の下部転輪がありますが、最前端と最後部は同一の単列転輪で、他は複列転輪であり構造が違うのです。図を載せれば一目瞭然ですが、著作権の関係でそうもいかないので、本を見てもらうしかありません。

また「「タイヤ」ハ硬質「ゴム」製ニシテ発熱防止ノ為特殊形状凹ヲ與フル外二、五粍ノ緊代ヲ與ヘ緊著セシム」との記述があります。写真資料と合わせて、転輪のゴム部分(タイヤ)には溝があり、それは発熱を防止することを目的としていたことがはっきりと分かったのです(私がね)。

そして「二、五粍ノ緊代ヲ與ヘ緊著セシム」とは、「緊(と)」(みしと)は隙間なく密着している様を意味しているので、ゴム製タイヤの直径をリムより2.5ミリほど小さくして(「緊代」)、リムにぴったりとつけること(「緊著」)を言っていると思います。タイヤがリムと同じ直径だったら簡単に脱落しますもんね。

買ってよかった?★★★★★(最大評価です)

日本陸軍の機甲部隊の2冊は大型写真集です。掲載されている写真は鮮明なものばかりで、ちょっと驚きます。写真の由緒は、昭和16年に創刊された対外宣伝グラフ誌『FRONT』のために撮影されたものです。お上の御用ですから、軍関係者の全面的協力のもとに撮影が行われたのでしょう。撮影者は菊池俊吉氏。本書では、菊池氏が遺したオリジナル・ネガからのプリントが使用されたそうです。
1巻目は、千葉陸軍戦車学校と習志野騎兵学校でのもの。チハだけでなく、ハ号やホイ(試製一式砲戦車)、軍用オートバイ、九七式軽装甲車、シケ(九八式4トン牽引車)、機動九〇式野砲の写真も複数あります。とくにホイはたった1両のみ試作されたと言われており、その鮮明な写真を見ることができるのが奇跡であり、本書の価値を高めるものです。
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2巻目は満州の教導戦車隊の演習状況を中心に、国内で行われた観閲式などの行事パレードの写真を収録しています。チハやハ号を中心に牽引車や野砲などの写真が掲載され、なかでも新砲塔型で車台が前期型である「ハイブリッド」チハの写真も収められています。戦車兵たちが談笑している写真など、当時の雰囲気がよく分かりますし、各部隊の迷彩やマーキングなど、写真が鮮明なだけに興味深いものがあります。

それぞれ約150点の写真を収録し、頁数は200頁に迫るもの。大判に引き延ばされた写真は迫力が違います。ちょっと高いけれど、持っていて損はないと思います。

買ってよかった?★★★★★(最大評価です)

1/35 日本陸軍 九五式軽戦車ハ号(後期型)

九五式軽戦車ハ号後期型 1/35
ファインモールド

出戻り後初の1/35です。30年ぶりでしょうか(平成20年の時)。

出戻ってからはタミヤの1/48を作っていました。同シリーズで戦車の登場が少なくなってきたことから、日本陸軍のくろがね四起を作り始めました。もともと日本軍車輛が好きな私にとってこれが大きな転機となってしまったのです(笑)。

しかし、1/48に日本軍車輛は無かったので、気になっていたファインモールドの製品を手にとったのです。この九五式軽戦車はほんとうに小さく、1/48のシャーマンと同じくらいの大きさでしたので、違和感がなく、購入しました。

下の写真は、サーフェイサーを塗った状態です(平成20年7月28日)。ここまで作って感じたことは、とにかくバリが多い。国産メーカーなのに?またタミヤとくらべて材質が硬いので、ヤスリがけも時間がかかります。また車体の合いが良くなく、隙間が結構できる。パテで埋めると、リベットがわんさかあるので、処理が難しい。まあ大変でした。後日、同社の三式中戦車を購入したところ、バリはほとんど無かったので、この九五式だけなのかなとも思います。
平成20年8月17日。迷彩色には、GSIクレオスの日本陸軍戦車迷彩色を使いました。下の写真は、砲身には陸軍カーキ、車体には茶色を塗った状態です。下地のサーフェイサーが溶けてしまうことがありました。塗り終わって、半つやクリアーを吹いて、塗膜を保護しました。

平成20年8月24日。残りの緑色→土地色を塗りました。塗り重ねには問題はありません。黄帯はアクリルのフラットイエローです。写っていない転輪も塗り分けています。完全に乾燥させて、次はデカール貼りです。なおキャタピラは、バンパープライマーを吹き付けています。

完成しました(平成20年8月31日)。マーキングは、昭和17年マレー半島における戦車第1連隊第3中隊所属の第20号車です。車体前面には日の丸があります。初めての日本車輌でしたが、製品として収まりよく、上出来だと自分では思っています。リベットが多いので、スミ入れで強調してやると味わいが出てくると思います。

残念なのは、砲身でした。砲口が開けられていませんでした。当初から、別売りの砲身を買わせようというのか、この部品には気合いが感じられません。パッケージ製品としての完成度をメーカー自ら落としてしまっている感じがあります。それならば、最初から別売り砲身(及びエッチィングパーツ)を入れて販売するべきではないでしょうか。とにかくパッケージ製品は、箱の中身だけで、勝負できる完成度でなければならないと思います。その上で、ユーザーが工夫をこらしていくべきではないでしょうか。モデル化しただけでもありがたいと思え的な発想では、だめです。




※現在、ハ号はサイバーホビーからも発売され、またファインモールドもリニューアルしており、良いモデルが手に入りやすくなっています。

         
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